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3.登 記

 登記は権利に関する一定の事項を登記所に備える登記簿に登載し、これを一般第三者に公示する目的のために設けられた制度です。
 現行法上登記の種類としては、@法人登記・商業登記など権利義務の主体に関する登記、A不動産登記・船舶登記・工場財団登記など権利に関する登記、B夫婦財産契約登記のように財産帰属に関する登記があります。
 権利義務の主体に関する登記の法人登記と商業登記とは、いずれも権利義務の主体に関する公示制度として共通点を有していますが、法体系の上からはそれぞれ別個の制度で、営利を目的とする法人の登記制度が商業登記であり、営利を目的としない公益法人及び各種組合等の登記制度が法人登記です。

(1)法人登記の意義
 法人登記は、会社以外の公益法人及び各種組合等の公示制度に関する登記であり、組合は、その法人としての発生、消滅、組機内容、責任関係等、法人格に関する重要な事項を正確に法人の登記簿に記載して一般に公示しなければ、第三者にとっては、これらの事項について知る機会を得ることかできません。
 そこで、法人登記により、これらの事項を社会一般に公示し、取引関係に入る第三者に対して権利又は法律関係の内容を明らかにして不測の損害をこうむることのないように、取引の安全と迅速を図り、社会秩序に奉仕するものです。
(2)登 記 所
 登記事務をつかさどる国の機関を登記所と呼んでいますが、登記所という名称の官庁があるわけではなく、法務省の地方支分部局である法務局もしくは地方法務局又はその支局もしくは出張所をもって登記所としています。
 組合の管轄登記所は、その組合の事務所の所在地を管轄する登記所で、これについては、Z.「登記管轄区域一覧表」(P.244)を参照下さい。
(3)登記に関する帳簿
 登記所には、登記に関する帳簿として、登記簿のほか、受付帳、申請書類綴込等の補助簿が備えつけられて保存されています。
@登 記 簿
 登記簿は、登記事項を記載するための帳簿で、これに記載することにより初めて登記がなされたことになります。この登記簿は、組合に関する権利義務関係及び組合の現況を公示することを目的とする国家の帳簿で、登記に関する帳簿のうちで中心となるものです。
Aその他の帳簿
 登記簿以外にも、登記事務の処理に必要な諸帳簿がありますが、登記申請手続としては直接必要ではありません。
(4)登記の公示
@一般的公示
 登記は、社会一般に登記された事項について公示することを目的とした制度であり、その公示の方法として、登記所は、登記された事項の内容を遅滞なく公告しなければならないことになっていますが、この公告は、昭和24年の「法務局及び地方法務局設置に伴う関係法律の整理等に関する法律」附則第9項により、当分の間行わないこととされ、現在に至っています。
A個別的公示
 登記事項の公告による一般的公示方法のほか、登記所は、登記の内容を知りたい人には個別的に、登記簿の閲覧を許したり、登記簿の謄本又は抄本を交付したり、登記に関する証明を付与したり等によって公示する方法がとられています。
(5)登記の効カ
@一般的効カ
 組合は、登記すべき事項については、登記が完了し、登記簿に記載された後でなければ、これをもって第三者に対抗することはできません。登記の前は、第三者に対してその善意たると悪意たるとを問わず対抗することかできず、したがって裁判その他法律上の主張を組合の側から行うことはできません。しかし、第三者が登記未済の事項について事実を認め、取引きその他の行為をすることを妨げるものではありません。登記後は、すべての第三者に対抗することかできます。
A特殊の効カ
 登記は原則として、登記すべき事項について第三者に対抗するための要件ですが、設立の登記及び合併の登記については、組合は、設立の登記又は合併の登記をすることにより、それぞれ単なる第三者対抗要件だけでなく、組合の成立要件又は合併の効力発生要件が生ずるという特殊な効カが定められています。
 商工組合における移行及び組織変更の登記についても同様です。