はじめに

我が国経済は、好調な企業業績に支えられ、景気回復が継続し、2006年11月時点において、景気回復局面がいざなぎ景気を超え、戦後最長の58ヶ月間に達しました。

しかしその一方で、地域・企業規模間で景気回復度合いにばらつきが見られ、多くの中小企業においては必ずしも景気回復が実感できるものとはなっていません。

主な原因としては、大企業と関わりが深い設備投資や外需関連の需要が伸びている半面、中小企業が担う消費財関連需要が伸び悩んでいること、また、資源・エネルギーコストが高騰している割りに、中小企業では適正な価格転嫁が難しいことなどが、各種経済調査などで指摘されています。

ただし、中小企業であっても、技術力等による商品差別化や、地域資源の活用による都市圏での販路拡大に成功した例も多数みられ、産地の技術、農林水産品、観光資源などの地域資源を掘り起こす“地域活性化”的な努力が、中小企業の再生に非常に効果的であるといわれています。その実現化に向け、国家と地域は有機的に連携しながら、中小企業を側面的に支援していく必要があります。

また、雇用情勢をみると、過去5年間で完全失業率は大きく低下する一方で、有効求人倍率は2倍以上になるなど、全体では大きく改善しているものの、これも地域間でばらつきが見られます。さらに人口減少・少子高齢化により、今後、60歳以上の労働力人口は大幅に増加する一方、15~29歳の若年労働力人口は、引き続き減少が見込まれるという中長期的な構造変化にも直面しており、今後人的資源をいかに確保するかが企業経営の大きな課題であり、支援策の柱ともなってきます。

本調査は、県内中小企業の経営状況・労働事情を的確に把握し、これに基づく時宣を得た経営指導・助言を行っていくことを目的とし、毎年継続して行う調査内容に、時期折々の重要な事項を加えて全国一斉に実施するものであり、本年も当会傘下の組合等を通じた600事業所を調査対象として行ったところであります。

本調査にご協力頂きました事業所の皆様方に厚くお礼を申し上げますと共に、調査結果報告書が企業の適正な経営管理並びに労務管理の参考としてお役に立ちますれば幸甚に存じます。

平成19年12月
島根県中小企業団体中央会
会長 藤 原 善 夫
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