は じ め に
わが国経済の現況は、公共事業の縮小、原油高の影響、輸出の鈍化等の懸念材料はあるものの、大企業を中心に企業収益の改善が続いており、需要の増加を背景に設備投資も引き続き幅広い業種で増加する等、戦後最長のいざなぎ景気を上回る景気回復基調が継続しており、先行きについても、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要があるとしながらも、企業部門の好調さが家計部門に波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くといわれています。
また、雇用情勢においても、景気回復が続く中で、若年雇用や地域格差等一部に厳しさが残るものの、雇用者数の増加と失業率の低下が続き、改善の動きは強まってくると見込まれています。
しかし、中小企業は長期に亘る不況により疲弊を極めており、とりわけ小・零細企業の多い本県においては、消費の伸び悩み、公共投資の削減等による競争の激化、取引条件の悪化等により、企業の経営環境は依然として厳しい状況下にあります。
また、雇用情勢においても、最近の新規求人数は増加基調にあるものの、若年者・高年齢者を中心とする新規求職者数も多いことから、県内の有効求人倍率は引き続き低水準で推移しており、加えて、地方交付税の大幅削減等により県財政も厳しい状況にあり、未だに景気回復を実感できる段階にはありません。
このような状況下にあって、本調査は、県内中小企業の労働事情に関して毎年継続して行う調査内容に、時期折々の重要な事項を加えて全国一斉に実施するものであり、本年も当会傘下の組合等を通じた600事業所を調査対象として行ったところであります。
本調査にご協力頂きました事業所の皆様方に厚くお礼を申し上げますと共に、調査結果報告書が企業の適正な労務管理の参考書としてお役に立ちますれば幸甚に存じます。
平成18年12月
島根県中小企業団体中央会
会長 藤 原 善 夫