土地の譲渡等がある場合の特別税率等 (租特62条の3,63条,63条の2)

 法人が,土地を譲渡等した場合には,通常の法人税のほかに,土地譲渡益について更に加算課税される等,譲渡した土地等の保有期間によって,それぞれ異なる特別な課税が行われる。

  1. 対象法人
     法人税の納税義務のあるすべての法人のほか,非出資組合のような「公益法人等」も,収益事業として土地の譲渡を行えば対象となり,また,欠損法人の場合でも,土地の譲渡益があれば課税される。
  1. 適用除外
     国,地方公共団体に対する譲渡,土地収用法による土地譲渡,住宅・都市整備公団など宅地供給を行う者への土地譲渡などに適用除外は限られ,特に中小企業対策としての適用除外はない。
〈土地譲渡益重課制度〉(租特62条の3)
  1. 対象となる土地の譲渡等
     法人が平成4年1月1日以後に行った土地等の譲渡等(短期所有土地譲渡益重課制度及び超短期所有土地譲渡益重課制度の適用対象となる土地の譲渡等を除く。)
    〔備考〕
    「土地の譲渡等」とは,地上権の譲渡も含まれるほか,借地権の設定,組織変更に伴う土地の評価換えによる帳簿価額の増額,その他も対象となる。
  1. 特別税率等
     土地等の譲渡利益金額に対して10%を乗じて計算した金額を,通常の法人税額に付加して課税
    〔備考〕
     「譲渡利益金額」とは,土地譲渡による収益から原価,負債利子及び販売費一般管理費を控除した金額をいう。
〈短期所有土地譲渡益重課制度〉(租特63条)
  1. 対象となる土地の譲渡等
     法人が他の者から取得した土地等で,譲渡を行った年の1月1日において所有期間が5年以下の短期所有土地の譲渡等(超短期所有土地譲渡益重課制度の適用対象となる土地の譲渡等を除く。)
    〔備考〕
    「土地の譲渡等」については,上記「土地譲渡益重課制度」の1.〔備考〕を参照。
  1. 特別税率等
     短期所有土地の譲渡利益金額に対して20%を乗じて計算した金額を,通常の法人税額に付加して課税
    〔備考〕
    「譲渡利益金額」については,上記「土地譲渡益重課制度」の2.〔備考〕を参照。
  1. 適用期間
     土地の譲渡等が平成4年1月1日から平成9年3月31日までの間に行われた場合に適用
〈超短期所有土地譲渡益重課制度〉(租特63条の2)
  1. 対象となる土地の譲渡等
     法人が他の者から取得した土地等で,譲渡を行った年の1月1日において所有期間が2年以下の超短期所有土地の譲渡等
    〔備考〕
    「土地の譲渡等」については,上記「土地譲渡益重課制度」の1.〔備考〕を参照。
  1. 特別税率等
     超短期所有土地の譲渡利益金額を当期の所得とみなして,通常の法人税率(基準法人税率)に30%の税率を加算した税率を乗じて計算した金額(基準法人税額があるときは,その額を控除した金額)を通常の法人税額に付加して課税(分離課税方式)
    〔税額の計算〕
    特別税額 = 譲渡利益金額 × (基準法人税率 + 30%) − 基準法人税額
    〔備考〕
    1. 「譲渡利益金額」については,上記「土地譲渡益重課制度」の2.〔備考〕を参照。
    2. 「基準法人税率」とは,各事業年度の所得,清算所得等に対する法人税の税率で,組合及び中小企業は「法人税の軽減税率」が適用される。
    3. 「基準法人税額」とは,当期の所得と当期の譲渡利益金額のいずれか少ない金額に基準法人税率を適用して計算した法人税額である。
  1. 適用期間
     土地の譲渡等が平成4年1月1日から平成9年3月31日までに行われた場合に適
  1. その他
    (1) 超短期所有土地の譲渡等が平成4年1月1日から平成9年3月31日までに行われた場合で,譲渡利益金額が当期の所得を超える場合には,翌事業年度以後の各事業年度の所得の計算上,その超える金額(当期の所得の金額がないときは譲渡利益金額)は,青色申告法人の場合は青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し(法人57条1項)に規定する欠損金額とみなされ,その超える金額は5年間の繰越控除が認められる。
    (2) 平成4年1月1日前に開始し,かつ,同日以後に終了する事業年度においては,基準法人税額の計算及び譲渡利益金額が当期の所得を超える場合の特例の計算に必要な各事業年度の所得の金額は,平成4年1月1日以後に行った超短期所有土地の譲渡に係る譲渡利益金額からなるものとして税額の計算を行うこととされている(3年租特令附則8条)。