3.利用分量配当の損金算入(法人61条)
- 事業協同組合等において、組合の事業を利用した分量に応じて行う事業利用分量配当は、損金に算入される。
- この場合の分配の基準となる組合員の事業利用高は、当期の利用高に限られ、当期前のものは含まれない。
- また、対象となる剰余金は、組合員が組合事業を利用したことによって生じた剰余金に限られ、不動産の売却益や組合事業であっても組合員の利用がないと認められる事業(自営事業)から生じた利益は対象にならない。
- 利用分量配当は、配当という字句が使われているが、所得税法上の配当所得とは認められず、支払時における源泉徴収及び受領組合員の配当控除は適用されない。
- 一方、企業組合の従事分量配当については、損金算入が認められていない。組合員が企業組合から受ける従事分量配当は所得税法施行令第62条の規定により配当所得とされているので、配当に当たっては20%の源泉徴収(所得182条2号)を行う必要がある。
- また、協業組合については出資配当以外の配当も所得税法施行令第62条の規定により、すべて配当所得とされており、源泉徴収を行う必要がある。
- なお、当期前の所得の留保額(利益積立金など)に係る利用分量配当は、配当所得とされる(昭和44年5月26日直審(法)29号、直審(源)5号)。
- 〔備考〕(事業分量配当の対象となる剰余金)〔基通(法)14−2−1〕
- 法第61条第1項第1号(事業分量分配金)に規定する事業分量に応ずる分配は、その剰余金が協同組合等と組合員その他の構成員との取引及びその取引を基礎として行われた取引により生じた剰余金から成る部分の分配に限るのであるから、固定資産の処分等による剰余金、自営事業を営む協同組合等の当該自営事業から生じた剰余金のように組合員その他の構成員との取引に基づかない取引による剰余金の分配は、これに該当しないことに留意する。
- (注)事業分量配当又は従事分量配当に該当しない剰余金の分配は、組合員等については配当に該当する。