平成11年中小企業団体情報連絡員総括報告


 県内中小企業の動向、問題点、要望を迅速かつ的確に把握すべく、中小企業団体情報連絡員制度を昭和49年に発足させ、地域別、業種別を勘案して36名の委員を委嘱し、毎月情報の提供をお願いしております。
 ここに掲載する「平成11年(1月〜12月)中小企業団体情報連絡員総括報告」は、1年間の情報と年間を通じた景況等を36名の委員の方々からの情報を元にとりまとめたものです。


T 概 況
U 業種別平成11年の状況
V 業種別平成12年の景況予測
W 中央会・行政庁への要望事項
各種 統計・景況グラフ


T 概  況
  平成11年の我が国経済を顧みると、戦後最悪といわれるマイナス実質経済成長から プラスの見込みとなるなど、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、緩や かな改善が続いているものの、依然民間需要の回復力は弱く、雇用情勢も依然として厳 しい状況が続いた。
  公共投資は前倒し発注により前半は好調だったものの徐々に低調となり、また、設備 投資も過剰感などから減少基調が続いた。住宅投資は持ち家を中心に持ち直しの動きが みられたものの、個人消費は、総体的に低調で推移した。
  こうした状況下、当地方の経済も、全国とほぼ同様の傾向をたどり、生産活動におい て、一部持ち直しはみられるものの低調な推移となり、企業倒産は件数、負債金額とも 一昨年よりは減少しているものの、雇用環境は依然として厳しい状況で推移した。
  公共工事は、一昨年の経済対策の反動から夏以降息切れ感があるが、総じて小康状態 であった。
  また、個人消費についても、情報通信関連や軽自動車など一部では動きがみられたも のの、景気の先行き不透明感や雇用不安、所得減少から依然消費マインドは冷え込んで おり、厳しい状況となった。

1.生  産
  本県の平成11年鉱工業生産指数(平成7年=100)は、94.7で、対前年比1.4ポイント増となった。
  季節的に見ると、昨年同様で推移し、年後半は若干上昇傾向で推移した。
  業種別に見ると、年間通じて堅調であった電気機械工業をはじめ、精密機械工業など一部業種で持ち直しの動きがみえたものの、全体的には低調に推移した。

2.建設動向
  保証実績からみた本県の公共工事請負件数は、6,728件で対前年比0.7%増加 したものの、請負金額では、3,570億円で4.3%減少している。
  発注者別に対前年比でみると、「国」は請負件数で2.4%増加したものの、金額で は2.3%減少、「公団・事業団等」は請負件数で1.0%増加し、金額では0.6% 減少、「島根県」は請負件数で3.9%増加し、金額では3.5%減少、「市町村」は請負件数で3.4%減少、金額で5.9%の減少となった。
  新設住宅着工件数についてみると、平成11年は5,122戸、対前年比マイナス2. 7%(144戸減)と減少した。また、利用関係別にみても、持ち家、貸家、給与住宅、分譲住宅、いずれにおいても減少した。

3.個人消費
  個人消費動向をみると、景気の先行き不透明感や雇用不安等により、消費者の購買意欲の減退が続いており、全体的な買い上げ単価、数量ともに低水準で推移した。
  自動車販売では、昨年の法改正により新規格となった軽自動車は引き続き好調な売れ行きだったものの、10月以降減少した。また、家電販売では、パソコン関連製品、携帯電話等の情報通信関連では売れ行きは好調であった。
  消費者物価指数は、松江市では年平均で対前年0.5%下降(全国0.3%下降)した。

4.雇  用
  本県の雇用動向を毎月勤労統計調査(常雇用規模30人以上の事業所対象)の中の常用労働者雇用指数でみると、93.7で対前年比1.9ポイント減少した。
  雇用の動きを業種別に前年対比でみると、建設業99.2(対前年比2.9ポイント減)、製造業82.1(4.4ポイント減)、運輸・通信業90.3(1.9ポイント減)、卸・小売・飲食店89.8(0.4ポイント増)、金融・保険業159.6(15.1 ポイント増)、サービス業102.4(0.7ポイント減)となった。
  また、労働力の量的な需給関係を示す月間有効求人倍率をみると、年平均0.76(全 国平均0.48)と、全国と比べては高いものの、本県としては低水準であり、厳しい状況となった。

5.企業倒産
  平成11年の本県の倒産件数(負債1,000万円以上、うち整理を含む)は、61件と前年より39件下回り(対前年比39%減少)、また、負債総額についても98億 2,500万円(51%減少)と減少している。
  規模別にみると、個人企業21件と資本金1,000万円未満の企業が27件で、倒産件数全体の78.7%を占め弱小資本の倒産が多い中、1億5,000万円を超える企業の倒産も1件でている。
  業種別にみると、建設業が件数で22件、負債総額で57億5,700万円と最も多かった。

U 業種別平成11年の状況

1.食料品製造業
(1)豆腐業界は、少子・高齢化など家庭環境の変化や食生活の変化などによる消費量の減少から、売上高は減少した。
   収益面においては、卸売価格を15年間据え置いているものの、3年連続売上高は減少し、悪化した。
   雇用面については、技術者の養成に時間がかかるものの少人数で対応しており、雑務に関してはパートの採用に切り替えた。
   このような状況の中で業界では、遺伝子大豆問題への対応を図るなど、安全な商品供給の体制づくりを行った。

(2)醤油業界は、一般家庭向けの出荷が多い反面、業務用、加工用としての出荷が少なく、また、景気不安や所得減から消費量が減少しており、対前年比95.4%と売上高は減少した。
   収益面においては、スーパー、量販店においては県外業者の格安商品が多く、県産醤油については、新式醸造方式や、販売方法で宅配方式をとり価格を維持していたが、量販店の値引き要請や、消費量の減少により、悪化した。
   操業度の面においては、例年は比較的順調であった贈答用箱物商品も、中元、歳暮期に販売量が伸びず、低下した。
   雇用面においても横這いで推移した。
   このような状況の中で業界では、商品の差別化や衛生管理についての研究や、青年部を中心に先進地視察等を行い、生産技術の向上や業界の活性化を図った。

(3)水産練製品業界は、6月〜9月の暑さによる需要の低下が、練製品の出荷に影響をあたえたことから、売上高も減少した。
   収益面においても、主原料や製品価格は横ばいで推移しているものの、特売等の頻度が多くなり、実質的には悪化した。
   操業度、雇用の面についてはほぼ前年並で推移した。
   このような状況の中で業界では、補助金を活用し、大手問屋、スーパー等との意見交換や、消費者対象の品評会の開催、練製品販促キャンペーンを実施した。

2.繊維・同製品製造業
   昨年からの円高、異常気象による期中商戦の低迷など衣料品の売れ行きの低迷から、受注量が減少し、売上高も減少した。
   収益面においても、海外での生産が増加しており、国内生産における製造原価も大幅に原価を下まわっており、厳しい状況となった。
   雇用面については、操業度の低下から減少傾向で推移した。
   その他、業界では、外国人研修生の受け入れを行っている。

3.木材・木製品製造業
(1)合板業界は、新設住宅着工件数が120万戸台の低水準であり、売上高は減少し、生産調整を行うなど、操業度も低下した。
   収益面においては、価格面では前年比横這いであったものの、低価格水準で推移しているため、厳しい状況となった。
   雇用面については、生産調整及び設備の高次加工化により、減少した。
   このような状況の中で業界では、木材産業高度化対策事業に引き続き取り組んだ。

(2)木材業界では、10月頃より多少の仕事量は増えつつあるものの、住宅着工が伸び悩み、対前年比92%と売上高は減少し、操業度も低下した。
   収益面においては、販売単価は低調であり、経費の削減、人員の適正化等コスト削減に務めるものの、厳しい状況となった。
   雇用面については、操業の低下、収益の減少により人員削減傾向にあり、減少傾向で推移した。

(3)家具業界では、景気の低迷等から消費が落ち込んでおり、売上高は減少した。
   収益面においては、販売単価は減少しているものの、コスト削減、生産効率の向上により、横這いで推移した。
   雇用面については、横這いで推移した。
   このような状況の中で業界では、販売店舗のリニューアルなど販売促進に努めた。

4.出版・印刷業
   大口受注先の経費削減の影響など需要が減少し、その結果同業者間での競争も激化しており、売上高は減少し、操業度も低下した。
   収益面においては、受注の減少に加え県外からの新規参入もあり、競争が激化し、製品単価の引き下げが進んでおり、用紙価格が値下がりしているものの、厳しい状況  となった。
   雇用面については、10名以下の企業では横這いであるが、10名以上の企業ではリストラや高齢者の退職など減少傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、先進企業視察、技術力向上、人材育成等に関するセミナー、研究会を開催した。

5.窯業・土石製品製造業
(1)瓦業界は、上半期は住宅着工数の減少、屋根材の変化や平板瓦指向等で需要は停滞したものの、下半期は台風の影響による特需があり、年間では対前年比102%と増加した。しかし、在庫調整の為長期的な火止めを行い操業度は低下した。
   収益面においては、価格は低調であり、生産調整による原価の上昇や、燃料費が高騰したことから、厳しい状況となった。
   雇用面については、減産体制にあり、減少傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、PR活動に積極的に取り組んだほか、物流効率化事業を実施し、流通コスト削減への対応に取り組んだ。
(2)生コンクリート業界は、安来道路、松江道路、中国横断道建設や島根大学、介護保険関連施設などの建設特需により売上高は増加し、操業度も上昇した。
   収益面においては、製品価格、原材料費とも横這いで推移したため、売上の増加により収益は増加した。
   雇用面については、道路公団向け工場では一部増加したが、輸送に関しては繁忙期は臨時で対応し常用従業員の増加を抑制したため横這い傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、共同販売、輸送の合理化などによるコスト削減に努めるとともに、工場集約化、共同輸送などについて検討を行った。

(3)コンクリート二次製品業界は、出荷量の減少により、在庫量の増加、操業度も低下する等、売上高は若干減少した。
   収益面においては、県外からの製品流入や需要の減少により価格競争が激化しており、販売価格は低下し、厳しい状況となった。
   雇用面については、過剰気味であった。
   このような状況の中で業界では、適正価格の維持、新製品対応、品質管理、品質保証の徹底に努めるほか、市町村等に対し県内産品の優先使用の陳情を行った。

6.鉄鋼・機械製造業
(1)鉄鋼業界は、機械金属加工関連、鋳物加工関連において、対前年比5〜15%売上高は減少し、操業度も低下した。
   収益面においては、受注確保の面から厳しい条件を受け入れざるを得ない状況にあり、受注価格は低下し、厳しい状況となった。
   雇用面については、退職者の補充以外の新規採用はなく、また助成金の給付などによる雇用調整を行っており、減少傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、教育訓練、人材育成や、フェア等への出展によるPRに努めた。

(2)一般機械器具製造業では、下期以降大型の受注があり、操業度も上昇しつつあるが、総体的には、売上高は減少した。
   収益面においては、価格競争の激化で、受注を確保できても収益にはつながらず、厳しい状況となった。
   雇用面については、減少傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、金融機関等に対し要望するなど資金対応に努めた。

7.電気機械器具製造業
   パソコン、携帯電話等情報通信関連においては堅調な推移となったものの、民間製造業の設備投資減少の影響から、機械装置等製品売上げは減少した。
   収益面においては、受注量が少なく、競争が激化しており、厳しい状況となった。
  雇用面については、過剰気味であった。

8.卸売業
   消費者マインドの冷え込みにより購買単価が低下しており、売上高は伸び悩み、横這い若しくは微減で推移した。
   収益面においては、小売店の低価格競争の影響により卸売業にも値引き要請は強く、また輸送費、人件費のコスト増加から、収益面で厳しい状況となった。
   雇用面については、営業職や管理職など質的な不足感が強いものの、退職者の不補充など、若干減少傾向で推移した。。
   このような状況の中で業界では、配送効率の見直しや、作業内容の再検討を行い業務の効率化に努めた。

9.小売業
(1)専門店は、個人消費の冷え込みが依然として回復する見通しもなく、売上は伸び悩み、売上高は微減で推移した。
   収益面においては、売上確保の為の値引きやサービスでの競争が激化し、原価販売や価格破壊を引き起こし、厳しい状況となっている。
   雇用面については、リストラも極限の状態にあり、正社員からパートへの切り替えを検討する傾向となった。
   このような状況の中で業界では、中小企業経営革新支援法への取り組みを検討した。

(2)共同店舗は、景気の低迷により個人消費が減少しており、売上確保のためのサービスを実施するも期待した効果はなく、売上高は減少した。
   収益面においては、低下した客単価が伸び悩み、厳しい状況となった。
   雇用面については、必要最小限の人員の雇用や、パート、アルバイトを活用する傾向が強くなった。
   このような状況の中で業界では、空き店舗対策や、新情報システムの導入、販促活動に努めた。

(3)商店街は、景気の低迷と消費者ニーズの変化により、売上は減少し、厳しい状態となった。
   収益面においては、販売価格は低下し、さらに客単価も低下、加えて競争激化により、厳しい状況となった。
   雇用面については、正社員をパート、アルバイトに切り替える傾向が強い。
   このような状況の中で業界では、集客の為のイベントや新しい街づくりへ積極的に取り組んだ。

10.サービス業
(1)旅館業界では、ゆうあいピックの開催等入込観光客は前年並み乃至増加したものの、宿泊客は減少しており、地域格差はあるものの売上高はやや減少した。
   収益面においては、宿泊施設の整備に伴い宿泊単価は上昇傾向にあるものの、宿泊客の低価格志向が根強く、また公営宿泊施設の利用増加等の影響により宿泊単価は低下し、収益面でも厳しい状況となった。
   雇用面については、人手不足は解消されず、一部旅館を除き特殊営業のため、常勤者は少なく、多くはパート採用で充当した。
   このような状況の中で業界では、島根、鳥取、山口、広島各県共催による山陰路観光キャンペーンの実施と共に、各種大会やイベントにおいて、各市町村観光協会等と協調誘客・宣伝活動を行った。

(2)自動車整備業界は、自動車保有台数は増加しているものの、平成7年の法律改正により点検項目が削減される等、1台当たりの整備売上げが減少しており、総整備売上げは減少した。
   収益面においては、1台当たりの整備売上げが減少し、また地域的に隣接県との比較など価格の低下があり、厳しい状況となった。
   雇用面については、高齢化が進み、また若年労働力が不足しており、依然として労働力不足は続いている。
   このような状況の中で業界では、使用者対策として点検フェアの開催やマスメディア広告の実施のほか、若手経営者等による情報交換会、レディースセミナーを開催した。

(3)建設設計監理業界は、民間設備投資は依然として低調であり、緊急経済対策等の公共投資も道路など土木工事に集中し、建築工事への波及効果は少なく、売上高は減少した。
   価格面においては、受注確保の為低価格での競争となり、収益面でも厳しい状況となった。
   雇用面については、厳しい経営環境の影響で、雇用調整が行われる傾向もある。
   このような状況の中で業界では、官公庁に対し、県内設計事務所への優先的発注の陳情を行った。

11.建設業
(1)建設業界は、緊急経済対策による公共事業の投資により、年前半は受注高、受注件数とも前年を上回ったものの、4月以降契約高は大きく下回り、全体では売上高は減少した。
   収益面においては、建設資材価格には大きな変動はないものの、公共工事のコスト縮減、民間工事の激減による競争の激化により、厳しい状況となった。
   雇用面については、従業員の高齢化、若年労働力の新規採用の鈍化は依然として続いているものの、新卒者の採用や失業者の再雇用ができるほどの工事量もなく、横這い傾向で推移した。
   このような状況の中で業界では、公共工事の確保と工事発注の平準化等について、県等関係機関へ要望すると共に、財政基盤確立のための指導助言を行った。

(2)舗装業界は、公共投資などの影響により、売上高は横這いで推移した。
   収益面においては、価格には大きな変動はないものの、若干減少傾向で推移した。
   雇用面については、新規採用はなく横這いで推移した。
   このような状況の中で業界では、特殊工事について、視察、研修を行った。

12.運輸業
   石見部においては浜田港の埋立工事の完了により公共工事が減少し、地域により格差がでているものの、年後半には若干回復傾向で推移した。
   価格面においては、需要減少による競争の激化や、荷主の要請により運賃が低下しており、加えて燃料費の高騰もあり、収益面で厳しい状況となった。
   雇用面については、退職者の補充程度で横這いで推移した。
   このような状況の中で業界では、需給情報の全国ネットに加入するなど情報化の推進と、共同購入事業による仕入れ単価の抑制に努めた。

V 業種別平成12年の景況予測


  本年のわが国経済は、昨年11月「経済新生対策」が打ち出され、景気を本格的な回復軌道に乗せ、21世紀の経済基盤を確立するよう、諸施策が盛り込まれており、その 効果があらわれれば、雇用環境や所得環境の改善につながるものと期待されるが、本格的な回復は来年以降になると思われる。
  国の公共投資は、年央くらいには経済対策の効果があらわれてくるものと思われ、公共事業に支えられる当県においては、公共投資の増加が消費や雇用の改善に結びつくことに期待がかかる。
  個人消費は、所得に対する不安感などから高額商品の買い控えや低価格指向は続くものと思われるが、情報通信関連や軽自動車など消費者のニーズにマッチした商品など、企業の戦略や努力による消費の回復に期待したい。


1.食料品製造業
(1)豆腐業界は、流通構造の変革により卸価格が低下し、同業者間での格差が生じると思われ、厳しい状況ではあるものの、前年並みに推移するものと予測される。

(2)醤油業界は、差別化商品(紅麹醤油)や加工醤油(だし醤油)などの製造販売にて売上高の確保に努めるものの、消費の減少から厳しい状況が予測される。

(3)水産練製品業界は、主原料の価格が低下傾向にあるものの、消費の落ち込みから、競争も激しく、厳しい状況が予測される。

2.繊維・同製品製造業
   素材メーカー自体の海外生産体制が充実してきており、また、海外工場の生産能力も向上し、海外での生産がより増加すると思われ、一層厳しい状況が予測される。

3.木材・木製品製造業
(1)合板業界は、新設住宅着工件数が120万戸台と予想されており、依然として厳しい状況が予測される。

(2)木材業界は、住宅着工件数の減少に加え、建築基準法改正により製品の乾燥度、強度の表示が義務づけられれば、この対応が困難であり、大手との格差が増すことから、さらに厳しい状況が予測される。

(3)家具業界は、消費の低迷から、回復する兆しも見えず依然として厳しい状況が続くと予測される。

4.出版・印刷業
   印刷料金の低下に加え、用紙価格の引き上げ等により収益の減少は改善されず、更に厳しい状況が続くと予測される。

5.窯業・土石製品製造業
(1)瓦業界は、台風による特需はあるものの、住宅着工数の減少、屋根材の変化による和瓦需要の減少、燃料の高騰によるコスト増加により、更に厳しい状況が予測される。

(2)生コンクリート業界は、一部地域を除き、平成11年の特需が終了したため、10%程度需要は減少すると予測される。

(3)コンクリート二次製品業界は、受注量の減少により、厳しい状況が予測される。

6.鉄鋼・機械製造業
(1)鉄鋼業界は、民間需要の回復に期待しており、建築鉄骨関連の需要の減少など、受注量、価格面においても、更に厳しい状況が予測される。

(2)一般機械器具製造業は、業況は落ち着きかけてきているものの、価格の低下を回復することは困難であり、引き続き厳しい状況が予測される。

7.電気機械器具製造業
   業界への新規参入企業や、他業種へ業種転換する企業など、入り乱れており、先行き不透明な状況である。

8.卸売業
   景気の回復が見込めず、収益の確保のため経営効率の向上に努めるしかなく、依然厳しい状況が予測される。

9.小売業
(1)専門店は、後半は景気回復に向かい、個人消費が増加することを期待している。

(2)共同店舗は、依然として厳しい状況が予測される。

(3)商店街は、景気の低迷が続き、一段と厳しい状況になると予測される。

10.サービス業
(1)旅館業界は、各種イベントの開催等あるものの全国各地においても同様なイベントの開催が予定されており、また、海外旅行の割安感等から、当地方への入込客は減少するものと予測されるが、交通網の整備と年後半の景気回復に期待している。

(2)自動車整備業界は、新車販売台数は横這いで推移すると思われるが、車両法の改正により事業用車両の点検項目が削減されたため売上面での減少が考えられ、若干悪化傾向で推移すると予測される。

(3)建設設計監理業界は、地方財政の実情から公共投資も期待薄となる傾向があり、民間設備投資も低迷しており、厳しい状況が予測される。

11.建設業
(1)建設業界は、国の公共事業に対しては、前年同様の予算編成がなされているものの、地方自治体の財政状況の悪化に伴う公共工事の減少、また民間工事も低迷を続けており、先行き厳しい状況が予測される。

(2)舗装業界は、先行き不透明な面があり、厳しい状況が予測される。

12.運輸業
   価格面についての改善は見込めないものの、景気回復による需要の増加に期待している。

W 中央会、行政庁への要望事項

1.金融・税制関係
(1)制度融資や助成金など、実際にはハードルが高く利用できないため、業界の実情に応じた対応を望む。
                             【繊維・同製品製造業】
(2)地場産業に対する支援のための助成政策を望む。
                             【木材・木製品製造業】
(3)継続性のある助成金や制度資金、保証協会のさらなる支援を望む。
                              【鉄鋼業界・商店街】


2.建設関係
(1)全国統一品質管理監査合格工場の製品の使用を望む。
                             【生コンクリート業界】
(2)県内業者への優先発注を望む。
                 【コンクリート二次製品業界・建設設計監理業界】
(3)公共事業の発注の平準化、工事量の確保への配慮、工事の早期発注を望む。
                             【建設業界・舗装業界】


3.労働関係
(1)労働時間短縮の緩和や、海外へ生産力を求めることへの規制を望む。
                   【商店街】


4.その他
(1)アドバイザーや講師等と企業が個別に相談できる場の提供を望む。
                                【食料品製造業】
(2)中小企業政策等の情報の早期提供、適切な指導等、また経営者意識改革、従業員能力向上等の研修会の開催を望む。
                                  【印刷業界】
(3)中小企業の育成強化、情報提供、補助事業等施策の強化を望む。
                        【鉄鋼業界・一般機械器具製造業】
(4)鋳物の廃棄物は成分的に問題がないため二次処理が不要になることから、廃棄物の指定を"管理型"から"安定型"に変更されるよう望む。
                                  【鉄鋼業界】
(5)各種支援法の適用条件が厳しく取り組みが難しいため、手続き等の簡素化を望む。
                                   【専門店】
(6)有料道路だけでなく、ライフラインである一般道の改善を望む。
                                  【運輸業界】