[5] 別表十六(一)

 この別表は、損金経理等に計上した場合に、減価償却額に超過額はないか、あるいは特別償却を適用する場合に償却不足額はないかを計算し、かつ限度額まで損金に認めてもらうための要件として作成します。
 無形固定資産については、定額法によりますが、設例では定率法に従いましたので、 別表十六(二)(定率法による減価償却資産の消却額の計算に関する明細書)についての記入例を示します。
 記入の方法は、定額法、定率法ともほぼ同じです。

STEP1 記載方法
減価償却資産について、種類等及び耐用年数の異なる毎に、また当期の中途で事業の用に供したものについては、別行に記載し、その種類及び耐用年数の同じ資産については、その合計額により記載します。
ただし、特別償却の適用を受ける資産は、他の資産と区分します。
STEP2 「種類 1」「構造 2」「細目 3」「耐用年数 17」「償却率 18」
耐用年数表(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表)に定まっていますので、それに従い記入します。



種        類 1 器 具 備 品
構        造 2 家    具
細        目 3 金属キャビネット
事業の用に供した年月 4 H 5 . 3
耐   用   年   数 17 15  年
償     却     率 18 0.142
 
 
 
← STEP3に説明
 
 
STEP3 「事業の用に供した年月 4」
当期の中途で事業の用に供した資産について、事業の用に供した年月を記入します。  ただし、機械及び運搬具、工具、器具、備品又は工業所有権について、「簡便償却」 の適用を受ける場合は「期中取得分」と記入し、備考欄に「1/2簡便償却」と記入します。
STEP4 「取得価額又は製作価額 5」
取得価額又は製作価額を記入します。
STEP5 「圧縮記帳による引当金又は積立金計上額 6」
圧縮記帳により損金算入する金額を帳簿価格の減額に代えて引当金又は積立金(利益処分)した場合に、その金額のうち損金の額に算入された金額を記入します。



取得価額又は製作価額 5 170,000
圧 縮 記 帳 による
引当金又は積立金計上額
6
差 引 改 定 取 得 額 7 170,000
←説例により、
 170,000円とする。
STEP6 「残存価額 8」
「差引改定帳簿価額 7」の10%に相当する金額を記入し、( )内には、5%に相当する金額を記入します。
残   存   価   額 8 (  8,500 )
  17,000 
STEP7 「期末現在の帳簿価額 9」
減価償却後の当期末帳簿価額を記入します。
STEP8 「期末現在の引当金等の金額 10」、「引当金等の期中取崩額 11」
圧縮記帳による引当金等に係る場合に記入します。
  期末現在の帳簿価額 9 144,135
期末現在の引当金等の金額 10  
STEP9 「損金に計上した当期償却額 13」
減価償却費として損益計算書に計上した金額を記入します。
STEP10 「前期から繰り越した償却超過額 14」
前期申告書の別表十六(二)「差引合計翌期への繰越額 35」の金額を記入します。
STEP11 「前期から繰り越した償却不足額 15」
前期以前の特別償却不足額を当期に繰り越す場合に記入します。
  損金に計上した当期償却額 13 23,854
前 期 か ら 繰 り 越
し た 償 却 超 過 額
14
前 期 か ら 繰 り 越
し た 償 却 不 足 額
15
STEP12 「算出償却額 19」
(注)当期の中途で事業の用に供したものについては、更に、事業の用に供した日以後の月数/12を乗じます。
STEP13 「増加償却額 20」
税務署長に届け出たもので、通常の使用時間を越えて使用される機械及び装置の償却限度の特例の場合に記入します。
当生償度
期普却額
発通限
算 出 償 却 額 19 23,854
増 加 償 却 額 20  
STEP14 「特別償却限度額等」の「22」〜「26」
割増償却に関する規定、特別償却に関する規定の適用を受ける場合に記入します。
STEP15 「前期から繰り越した償却不足額 27」
特別償却限度額につき、損金経理により償却額を計上する方法を採用した場合に生じた特別償却不足額のうち当期末日前1年以内に終了した事業年度に係る金額を記載します。
STEP16 「当期償却額 29」
減価償却費として損益計算書に計上した金額を記入します。
STEP17 「償却超過額 31」
別表四の「加算」欄及び別表五(一)の「増 (3)」に転記します。
STEP18 「前期からの繰越額 32」
前期申告書の別表十六(二)「差引合計翌期への繰越額 35」の金額を記入します。
STEP19 「償却不足によるもの 33」
当期に償却不足がある場合に、前期から繰り越された償却超過があるときは、その償却不足額に達するまでは、損金に認容されます。
別表四の「減算」欄及び別表五(一)の「減 (2)」に転記します。
STEP20 「引当金取崩によるもの 34」
当期に圧縮記帳に係る引当金または積立金を取り崩した場合に、前期から繰り越された償却超過があるときは、その償却不足額に達するまでは、損金に認容されます。
STEP21 「当期において切り捨てる償却不足額 37」
当期の末日以前1年以内に開始した事業年度において生じた特別償却不足額で、当期末までに損金の額に算入されなかった金額を記入します。
STEP22 合計額
一番最終の行に合計額を記入します。

この別表はこれで完成しました。